網膜には「赤」「緑」「青」の3色を感知する能力があり、その刺激の強さによりさまざまな色の判別や認識をしています。
色覚異常とは一般的に赤緑色覚異常と呼ばれていますが、これは赤が緑に見えるということではなく、赤と緑の判別ができない病気で、遺伝による先天色覚異常と視覚系の障害によって生じた眼の疾患に伴う後天色覚異常に分けられます。
赤緑色覚異常では、例えば赤い紅葉と緑の楓の葉、枝が同じ色に見えたりします。
このように区別しにくい色の組み合わせを混同色と呼び、「赤と緑と茶」、「ピンクと水色と灰色」、「緑とオレンジ」などがあります。
色の判別がしにくい程度により、「1色型色覚」「2色型色覚」「異常3色型色覚」に分けられています。
1色型色覚異常は、全色盲と呼ばれ色に対する感覚が全くない方です。
具体的には、白黒写真のように全て灰色に見えてしまいます。
但し、このタイプは非常にまれです。
2色型色覚異常は、2色のうち1色の判別がほとんどできないもので、これまで色盲と呼ばれていました。
第1異常(赤)の場合を、第1色盲(赤色盲)、第2異常(緑)の場合を、第2色盲(緑色盲)と呼びます
異常3色型色覚異常は、3色全てを感じることはできますが、その感じ方が正常者とは異なり、まぎらわしい色の判別が困難で一般には色弱と呼ばれています。
第1異常(赤)の場合を、第1色弱(赤色弱)、第2異常(緑)の場合を、第2色弱(緑色弱)と呼びます。
人間の性を決定する性染色体には、X、Yの二つがあり、男性はXY、女性はXXの組合せになっています。
色覚異常の遺伝子はX染色体にあり、劣性遺伝するので、男性の場合はその染色体に色覚異常の遺伝子があれば色覚異常を発病します。
女性の場合はX染色体が2個あるので、その両方に色覚異常の遺伝子がある場合に限り色覚異常となります。1個のX染色体にのみ遺伝子がある場合には発病はしませんが、保因者になります。
このように、X染色体性劣性遺伝という遺伝形式であるため男性に多く、女性では500人に1人程度と比較的まれなのに対し、男性では20人に1人くらいと高頻度にみられます。
このように、遺伝形式で発症する病気のために、先天色覚異常に対して現在有効な治療法といったものはありません。
日常生活において色覚異常とどのように付き合っていくかが大切であると考えます。
患者さまからのご相談やサポートに当院では積極的に取り組んでおります。
平成14年の改正により平成15年度から学校での色覚検査が必須項目からなくなり、多くの学校にて色覚検査が実施されなくなりました。
それにより、大きくなってから初めて色覚の異常に気が付くことで学業や、子どもの進路に影響があることが問題視されておりました。
このようなことを受けて、平成28年4月より文部科学省は、色覚異常の検査ができる環境、学校側が理解し配慮するとともに適切な指導を行うこと、保険検査に色覚に関する項目を新たに追加するなど施行規定の見直しを行いました。
東京都眼科医会では、学校での検査にて色覚異常を指摘された際には、クリニックにて検査するように推奨されております。
おおむた眼科クリニックでは、石原式色覚異常検査や、パネルD15検査、SPP標準色覚検査表による検査など、各種色覚異常検査が可能ですので、ご遠慮なくご相談ください。